南海トラフ地震
南海トラフ地震、最悪なら死者32万人 国が被害想定

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 南海トラフ沿いで起きるとされる巨大地震をめぐり、国の二つの有識者会議は29日、被害想定を発表した。東海地方が大きく被災する最悪クラスでは、東日本大震災の1.8倍の1015平方キロが津波で浸水。国が2003年に出した想定の13倍に及ぶ32万3千人が死亡、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)も水につかるといい、国や自治体は抜本的な震災対策の見直しを迫られることになる。

 有識者会議は「最悪クラスの地震が起きる可能性は低い」とも指摘。適切な避難行動や対策をとれば、死者数を最大5分の1に減らせるとしている。

 発表によると、最悪クラスの地震のマグニチュード(M)は9.1で、震度7が静岡県から宮崎県までの10県151市区町村、6強が21府県239市区町村。より詳細な地形データに基づいて推定した津波の高さは、20メートル以上の地域が8都県(都は新島などの島しょ部)に及ぶとしている。

 浸水は三重県伊勢市や宮崎市で30平方キロを超え、東京、名古屋、大阪の3都市圏の一部も被害が出る。浜岡原発は高さ18メートルの防波壁(建設中)を想定に入れない場合、最大9メートルまで水につかるとしている。

 死傷者や建物被害は震源や発生時間、季節、風速で変わるため、東海、近畿、四国、九州がそれぞれ大きな被害を受けたケースを想定=図参照。風の強い冬の深夜に東海で甚大な被害が出ると、津波で23万人、建物倒壊で8万2千人、火災などで1万1千人の計32万3千人が死亡するという。

 さらに、236万4千~238万6千棟が揺れや津波、火災に加え、地盤沈下といった現象が起きる液状化で全壊・焼失すると想定。自力で逃げられなくなる「脱出困難者」は31万1千人に上るとしている。

 二つの有識者会議は、東京大の阿部勝征(かつゆき)名誉教授が座長の検討会と関西大の河田恵昭(よしあき)教授が主査のワーキンググループ(WG)。検討会は3月末に出した震度と津波の高さを改めて算出し、初めて浸水域も推計。WGは死者や建物の被害を担った。いずれも強い揺れを起こす領域に応じて複数の想定を出した。

 検討会などは最悪クラスの被害とは別に、地震で堤防や水門が壊れると死者は2万3千人増え、浸水の範囲や深さがより深刻になるとの想定結果も出した。
朝日デジ 2012年8月29日18時5分


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